商工会議所の持続化補助金制度を使って、新しい取り組みを始めたという平沢写真館さん。取り組みに至った背景をお聞きすると、伊那市で創業してから110年の歴史を持つ写真館だからこそ、今の人たちに伝えたい写真に対する想いがありました。


プリントすることの楽しさを知ってほしい

ーー商工会議所のサポートで新しい取り組みを始められたと聞きました。

はい。商工会議所の持続化補助金の制度を使って、ポータブルのプリンターを購入しました。たまたま出席した勉強会で知人が補助金制度を使ったと聞いて、商工会議所のHPを見たのがきっかけです。

ーー偶然知ったんですね。

そうですね。今まで、商工会議所の制度を利用したことはほとんどなかったんです。申請の期限がぎりぎりのタイミングだったので、書類を作るのも大急ぎで大変でした。そういった書類を作ったこともなかったので、商工会議所にいろいろと相談をさせていただいて作りました。

今までも出張撮影はしてきたのですが、プリントするためには会社に戻らなければならないので、すぐに写真をお渡しすることはできませんでした。ポータブルのプリンターがあることで、出張撮影でプリントして写真を渡すところまでを完結してできるようになりました。


 

ーー申請書類の作成では、どういったことをするのでしょうか。

自社の強みと弱みを分析したり、地域の課題について考えたり、業界における立ち位置などについて調べました。人口の推移とか、そういった中での需要の見込みなどについても、商工会議所の担当の方と一緒に改めて考えましたね。

終活のために写真を撮りたいお年寄りから、「写真館にはなかなか行けないから来てほしい」という声があって、そのための出張撮影サービスを考えましたが、それについても、どのくらいのニーズがあるのか、取引先がどの程度確保できるか、など考えることはたくさんありました。
 

ーー実際に購入してみていかがでしょうか。

あるご家族からご依頼を受けて、福祉施設で行われた喜寿のお祝いのときに出張撮影で伺いました。ご家族、ご親戚で撮影をして、そのあと皆さんがお食事会をしている間にプリントをしました。お祝いのために遠方からいらっしゃっていましたので、その場で写真をお渡しして、持って帰っていただくことができたので、とても喜んでいらっしゃいましたね。

それから、社会福祉協議会のイベントにもボランティアで参加しました。撮影したスナップ写真をその場でプリントしてからボードに貼りだして、欲しい方に差し上げるという取り組みでした。直接お客さんと話しをすることでニーズがわかったり、つながりができたり、自社の取り組みを知ってもらう機会にもなりました。
 

ーー見えてきた課題などはありますか?

まだ手掛け始めたばかりなので模索しながらですが、このサービスをどう広めていけばよいかについて、反省と課題を積み重ねているところです。すこしずつでも認知度を高めていきたいですね。

そもそも、時代の流れで、特に若い世代にはプリントをするという意識がなくなってきています。写真をプリントで残す楽しみというのを伝える必要があると感じています。

写真は思い出を形に残すこと

ーー写真はスマホで撮ることがほとんどで、確かにプリントすることは少ないですね。

高齢者の方ですと、逆に画面を見せてもらうだけでプリントをもらえないことが残念だとおっしゃるかたもいます。スマートフォンでは、たくさんの写真が撮れますが、たくさん撮れてしまうために、その中で「これしかない」という写真ってわからないですよね。

スマホやパソコンの写真は結局のところデータですから、壊れてしまったら見ることができませんし、クラウドに預けっぱなしにしてしまってアルバムにもしない方が多いです。簡単に写真が撮れるようになった分、その大切さが薄れていると感じますね。

時代の流れは受け入れなければなりませんが、写真は感動や思い出を形にして、手にすることができるものです。その魅力を残して伝える方法を考えていかなければと思っています。
 

ーー写真を撮ることは思い出を残すことですね

そうなんです。毎年写真を撮りに来てくださるご家族がいて、長いかたですと、40年くらい通ってくださっています。26年前に今の場所に移転した時から、フォトストーリー会員といって、毎月会費をいただいて、それで年1度家族写真を撮っていただくという取り組みも行っています。毎年撮影していると、ご家族の変化やお子さんが成長する姿を一緒に見守っているようで、ご家族の歴史を残すことができるのはとても嬉しいことです。

ある時は、ご家族で撮影にいらしたんですが、中学生のお子さまが反抗期で写真を撮りたくないと言って車から降りてこなかったんです。しょうがないからと言ってお子さま抜きで撮影したのですが、それもご家族の歴史なんですよね。いつか、「この年は、反抗期で写ってないんだよ」と言って写真を見ながら思い出を語ることができるのも幸せなことだと感じます。

 

ーー今後の取り組みで商工会議所に期待することはありますか?

今回ポータブルプリンターを購入しましたが、プリントを残す楽しみを伝える、という点でどういう場所で、どういった活用ができるのかを一緒に考えていきたいですね。

今まで長く商工会議所の会員でしたが、今回初めて補助金制度を使って、もっと早く活用すればよかったと感じました。これを機会に自分たちの商売を活性化するやり方を相談したり、異業種の方と知り合う交流会などに参加したりして、新しい発想を得ることができれば。セミナーや講習会もあるので、出来るだけ参加して視野を広げていきたいです。

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平沢写真館
明治41年創業。初代は東京赤坂にて写真の知識を学び、現在で4代目となる。家族写真や記念日撮影のほか、証明写真や出張撮影、写真の復元などを手掛ける。

住所:〒396-0024 長野県伊那市坂下3346-1
TEL:0265-72-3078 FAX:0265-72-3144
HP:http://hirasawashashinkan.com
営業時間:9:00〜19:00 ※定休日:毎週水曜日、第一火曜日

担当支援員よりひとこと
敬老の日の出張撮影という新事業を始めたいとご相談があり、現状分析から市場調査まで経営計画書作成のお手伝いをさせていただきました。事業開始当初は高齢者福祉施設に一緒に足を運び事業説明をしましたが、今では「高齢者撮影=平沢写真館」が少しずつ定着しつつあります。問合せも増えていると聞いていますので、今後も伴走支援していきたいと思います。